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15th Album『カンチガイもハナハダしい私の人生』の2曲目に収録。

ファーストインプレッション

人生まだ1ケタの男子が、でっかい夢を語りまくる、
大胆不敵な小学3年生の日常のある一幕。

KANさんがアメリカ的に「夢は叶うのさ!」と
両手を広げて歌うには、
ちょっとニュアンスが違う、と考えていたところ、
「俺は小学3年生」という歌詞が舞い降りる。

そうだ、
小学3年生にでっかい夢を語らせてしまえば、
何の違和感もなく、大らかに歌うことができる。
そう気づいて設定と曲タイトルが「小学3年生」に。

実はアルバムのタイトルも「小学3年生」に
なるかもしれなかったそうです。

とにかく歌詞の構成がおもしろくてですね。


・小学3年生の自分&かわいい同級生のことを2ブロックめいっぱい無駄に(笑)使って紹介。手短に言うと「小学3年生」の説明でしかない(笑)。

・貸した蛍光ペンが返ってこないという根拠だけで、かわいい同級生は自分に脈があるっぽい、と勝手な解釈。

・「小さいことは気にしない、でっかい夢があるからさ」と、上から目線だけど実は嬉しいのを隠してる。

・そんな思いこみにカコツケて、でっかい夢を熱く語り出す。トントン拍子な夢の将来をドンドン妄想、ついには将来憧れの同級生にプロポーズするに至る。

・どんな大きな夢も叶うのさ、カンチガイなんてしてないさ、と言い張る。

・話は戻って小学3年生の現実。実は母には大学は出ろと言われてる。勉強はするけどその前にやるべき事がある。それは、あの子と両想いになること。それが夢へのスタートライン。

・さらに話は戻って翌日の算数の授業中。なんとかわいい同級生に貸していた蛍光ペンが、隣の男子の手に普通に渡っていることを知る(!)。

・投げやりに「オーケー、オーケー、ノープロブレム。悔しいけどあげちゃうぜ」。

・「小さいことは気にしない、でっかい夢があるからさ」と、上から目線だけど実はものすごく悔しいのを隠してる(笑)。いや、それとも、将来への確固たる自信があり、疑わないことからくるものか?

・最後は「まだ人生ヒトケタ、俺は可能性は無限大の小学3年生!」と締めくくる


こんな歌詞と曲はKANさんじゃないと作れないです。
前半だけならば他のアーティストでも作れるかもですが、
後半のどんでん返しも含めてだと、そうは作れません。
ましてや、これをビッグバンドジャズに乗せようなんて
誰も真似をしません(笑)。

僕らの世代ではありえなかったのですが、
今の小学3年生は蛍光ペンを使ってるんですか?
・・・と、一瞬問いたくなりましたが、
逆に、ある反面、何の逆かはわかりませんが、
消しゴムとかコンパスとか、誰でも持ってる
文房具ではこの歌詞は成り立たなくて、
ちょっとセレブな趣のある「蛍光ペン」を
登場させることで、この主人公の精神的レベルを
見た目1ランクアップさせる意図があるのでしょう。
他の文房具だったら、わざわざ離れた席の
人に借りなくても、隣に座ってる人に
借りればいいだけですからね。

そして、こういう「ライバル」「続・ライバル」的な
どんでん返しな歌詞の展開を期待して、
僕たちファンは聴いてしまうのですよね。

あと、歌詞でほほ〜、そう来たか、と思ったのは、
KANさんが普段からおもいっきり
アメリカ的競争社会や合理主義を否定してるのに、
もっというと「一生ニューヨークには行かない」
とまで言ってるのにも関わらず、
歌詞にバリバリアメリカンな言葉が
平気で入ってるというところ。
「ニューヨーク!」って叫んでるし(笑)。

でもこれはある意味作戦なのかもしれません。

ニューヨークとかグランドキャニオンとか、
アメリカを体験したことがない小学3年生が
辛うじて知っているアメリカ的単語を
無邪気に並べることに特別な意義があるこの曲。

アメリカをあまり体験したことがなくて、
ニューヨークなんて一生行かない!と言い張る
KANさんだからこそ、
主人公と作者の年齢ギャップを違和感なく
受け入れられるような作品に仕上げることが
できたのではないか、そんな風にも思うわけです。

メロディはサビ前の盛り上げ方とか、
サビは四分音符で大らかに入るとか、
ビッグバンド的なエッセンスは見事に踏襲し、
曲としてはビッグバンドジャズに仕立てながらも、
一方でKANさんらしいメロディも乗せられているので
これまた全体を通して違和感なく聴けてしまいます。

個人的なツボは「オーケーオーケー」の
投げやりな部分と、最後の最後、
「俺は小学3年・・・」ときて、
このあと「生〜」は絶対オクターブ上げてくると
思いきや、実際はオクターブ下げてきたところ。
上にいっちゃうと、ビッグバンドジャズを通り越して、
ミュージカルになっちゃいますしね(笑)。
「せぇ〜」ではなく「せい〜」とはっきり
発音したのも、スッキリして良かったです。

ちなみに、僕はこの曲を口ずさんでいると、
なかなか曲の最後に行かずループしてしまい、
そのたびに転調して上がるところを何度も何度も
繰り返してしまうので、
どんどんどんどん高くなっていってしまいます(笑)。

あと、「本気だよ」の微妙に末尾がかすれかかった声とか、
「それ俺の・・・蛍光ペンじゃない?そうだよね」
のつぶやき方とか、細かいところですけど
結構ツボな方が多いかもしれません。

アレンジは、超豪華なビッグバンドジャズ。

普通のポピュラーミュージックを作る
シンガーソングライターが構築するには
大変な作業であり、困難を極めることは言うまでもない、
しかもそれを1人でやりきってしまう。
これはもはや、普段帽子を着用しない僕も、脱帽です。
音楽に対する飽くことのない探求心、コダワリが
ないとプロでも成せない業だと思います。

実際問題、たまに、プロの方の曲でも
「プロじゃなくてパロでしょ」
と思うようなアレンジが、あれこれ
見受けられてしまったりしますもんね。
って、比べることさえ失礼にあたりますけれども。

ピアノは、この曲をこの人のために書いた
といっても過言の滝でも華厳の滝ではない、
塩谷哲さん。ニュアンスだけ伝えて、
あとは塩谷さんの思うがままにジャジーに
キラキラシャキンと巧みに弾き任せる感じ。

しかし一方でブラスの壮大な譜面は
一つ一つのパート別に、KANさん自身が
書いたものだそうです。
総勢22名でしたっけ?それくらいの
大世帯のビッグバンドだそうです。

一斉に音を出すとわかりにくいですが、
各楽器の1音1音丁寧に書いたに違いない、
きめ細やかな旋律と、誰もが
どっかで聴いたことがある有名ブラスナンバーを
一部コラージュして組み合わせた、
「時間をかければかけるほど良くなる、
いつまでやってもキリがない作業」。

初めて挑戦されたことなので、
あれこれコラージュしたり参考にした楽曲の
アレンジを読み込んで、ジャズアレンジや
ビッグバンドブラスのアレンジを
「勉強」しながら作り上げたのでは
ないかな、と思います。

昨年オーケストラバージョンの「愛は勝つ」を
アレンジされましたが、そのときより
相当楽しかったでしょうし、
違った方向で凝った作りだと感じました。

このアレンジも、オーケストラのときと同じように、
「ここでこの旋律がほしい!」
「ここのオカズはこの楽器で!」
みたいなキメたい部分を先に置いて、
残りを巧みに埋め尽くすというプロセスなのでしょうか。
そのあたりは、いつか金曜コラムあたりで
語ってくださるような気がします。

いったいこの曲、発売直後のライブツアー
「ルックスだけでひっぱって」では
どうやって演奏されるんでしょう?

キーボード・矢代さんがまたもや
限界を超えた難関プレイを強いられるのでしょうか?

そのあたりも楽しみにしたいです。

とにかく、この曲は、
歌詞・メロディ・アレンジ・プロセス含めて
全体的にKANさんらしさがにじみ出ているし、
一時アルバムタイトルにもなりかかったことからも
わかるとおり、このアルバムの中で、
象徴的な楽曲だと思います。

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